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クラウドワークスのユーザーインタビュー分析手法を大公開!

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こんにちは。UXリサーチャーの小阪( @yuta3594 )です。

 

社内での肩書はUXデザイナーで、前回の記事でもUXデザイナーと名乗っていたのですが、社外向けだとUXリサーチャーのほうがわかりやすいのかな?と思い、名乗り方を変えてみました。

クラウドワークスには、私のようにUXリサーチを専任でおこなうメンバーが居ます。リサーチはそれだけで相当な工数がかかるため、UIデザイナーが兼務しなくていいのは全体としての行動量増やせていいんだろうなと思ってます。

 

 さて、先日このブログで、ユーザーインタビューの設計手法を大公開しました。

designer.crowdworks.co.jp

 

本日は、インタビュー実施後に絶対やらなければならない、「インタビューの分析手法」の公開です。

 

ご紹介するのはあくまで弊社でやっている方法なので、参考程度にご覧ください。「こういう方法もあるよー」というお話はぜひ伺いたいので、Twitter等でフィードバックいただけますと幸いです。

なぜ分析するの?

「なんで分析するの?」「インタビューでいろいろ話聞けたからいいじゃん」 

と思う方も居るかも知れません。

 

インタビューしてそのまま放置。

これは、ゼッタイにダメです!

 

せっかくの準備とインタビューの時間が無駄になってしまいます。

むしろ「インタビューしないほうが良かった」なんてことにもなりかねません…。

 

なぜか。ポイントは、ユーザーさんの言葉が、そのまま事業の役に立つことはないということです。同じ理由で、お客様の声として届いたフィードバックもそのまま鵜呑みにしてはいけません。

 

ユーザーインタビューの目的は「ユーザーの真のニーズ」を知ることです。ユーザーさんの心の声を聞くことです。口からでた言葉をそのままを鵜呑みにするのではなく、その奥にある真のニーズに目を向ける事が重要です。

 

インタビューでのユーザーさん発言から、真のニーズ・心の声を掴む作業がインタビュー分析です。

 

KJ法による個人分析の流れ

それでは、どのようにインタビュー分析をしたらいいのかを、具体的に解説していきます。分析は、「個人分析」と「統合」に大きくわかれます。まずは、一人ひとりを分析していく個人分析です。

(1)インタビューの記録

まずは記録ですね。

インタビューの様子は、すべて録画・録音しています。

 

通常のミーティング等の記録であれば、要点を整理して書かれた議事録が良い議事録ですが、ユーザーインタビューでは、要点だけの記録ではほぼ意味を成しません。

 

細かい節々にユーザーさんの真のニーズのヒントがあるので、一言一句のがさないように、すべて記録するようにしましょう。

 

最低限、録音していれば大丈夫です。ですが、画面を触ってもらうインタビューではもちろん映像の記録も必要になりますし、それを予定していないインタビューでも、話の流れでユーザーさんのスマートフォン画面を見せてもらうこと等もあるので、映像も一緒に記録しておくと便利です。分析時に、顔が見れることでそのユーザーさんのことを思い出しやすくなるという利点もあります。

 

(2)議事録起こし

次に、議事録起こしです。

記録した映像を観ながら、会話をすべて文字起こしていきます。

  

語尾まですべて正確に文字起こしする必要はないですが、基本的にはインタビュアー含めて話されている通りに文字起こしします。

 

地味ですが、がんばりましょう!w

 

ここからは具体例とともにプロセスをご紹介していきます。(内容はすべて当エントリー執筆のために作成した架空のものです)

 

新卒3年目のデザイナー(太郎さん)に、「副業をする理由」についてインタビューをしたという設定で、議事録はこんな感じになります。会話調で残せるといいですね。

 

会話の内容はあとでも登場するので、軽く読んでみてください。

====================

イ:インタビュアー

ユ:ユーザーさん(太郎さん)

====================

 イ:副業を意識したきっかけはなんですか?

 ユ:いま新卒3年目でそんなに給与も高くないので、なんとかして収入増やせないかな?と思ったのがきっかけです。いろんな現場を経験できますし。本業だと1サービスしか触れないんですよ。あと、最近働き方改革が叫ばれてるじゃないですか。副業という言葉もよく聞くようになったので、そういうのもあると思います。

 イ:そうなんですね。ちなみに副業で得た収入はどんなことに使うんですか?

 ユ:色々使いますけど、最新のiPad買ったりとか、デザイン系の本買ったりとか。iPadはイラストの練習したくて、高かったけど買っちゃいましたね(笑)

 イ:iPadいいですね!本とかイラストの練習とか、勉強熱心なんですね。

 ユ:やっぱりデザイナーなんで、実力次第じゃないですか。どうやったら早く成長できるのかばっかり考えてますね。

イ:すごいですね。どんなデザイナーになりたいとかイメージあるんですか?

ユ:んー、夢とか具体的にはないんですが、どんな場面でも必要とされる、価値を発揮できるデザイナーになりたいですね。大企業でも、スタートアップでも、その時やりたいと思った事業に携わっていきたいです。

イ:いいですね!話変わってしまうんですが、もしデザイン業務以外の副業の話がきたらやりたいと思いますか?

ユ:やらないですね。やっぱりデザインスキル伸ばしたいので。時給が3倍とかだったらやるかもしれませんがw お金は後からついてくると思うので、いまはスキル伸ばしたいですね。

イ:やらないんですね!でもデザインスキルなら本を読むとかでも良いじゃないですか?

ユ:うーん、本も大切なんですが、やっぱり実務でしか伸びない部分も大きいと思うんですよね

本当にこんな感じで全部文字起こしします。90分のインタビューだと、Google Docsで15ページくらいになったりします。結構な量ですよね。

 

社内でやるのが大変でしたら、クラウドワークスで文字起こしの発注してみてください!(笑)

 

(3)データ切片化

次に、データ切片化です。

(2)で文字起こししたユーザーさんの発言を、20〜30文字程度のデータ切片にしていきます。

 

データ切片化は、「データを意味をもつ最小限の切れ端に分けること」です。会話をしてるので、大体は1文が1つのデータ切片になることが多いですが、1文だけでは意味が伝わらないときや、同じ意味のことを連続して発言しているものは2文を抜き出しますし、逆に1文の中に色んな意味を含んでしまう場合は1文をいくつかのデータ切片にわけることもあります。

 

データ切片は付箋で作成しましょう。昔は紙の付箋に手書きで作っていましたが、最近はFigma上で付箋っぽいオブジェクトを作り、それで作ることが多いです。

 

黄色でなくてもいいですが、単色の付箋でひたすら作ることをおすすめします。弊社はいつも黄色です。

 

例をデータ切片化してみるとこんな感じです。

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ちなみに、議事録の下記赤字の部分をデータ切片化しています。

 

====================

イ:インタビュアー

ユ:ユーザーさん(太郎さん)

====================

イ:副業を意識したきっかけはなんですか?

ユ:いま新卒3年目でそんなに給与も高くないので、なんとかして収入増やせないかな?と思ったのがきっかけです。いろんな現場を経験できますし。本業だと1サービスしか触れないんですよ。あと、最近働き方改革が叫ばれてるじゃないですか。副業という言葉もよく聞くようになったので、そういうのもあると思います。

イ:そうなんですね。ちなみに副業で得た収入はどんなことに使うんですか?

ユ:色々使いますけど、最新のiPad買ったりとか、デザイン系の本買ったりとか。iPadはイラストの練習したくて、高かったけど買っちゃいましたね(笑)

イ:iPadいいですね!本とかイラストの練習とか、勉強熱心なんですね。

ユ:やっぱりデザイナーなんで、実力次第じゃないですか。どうやったら早く成長できるのかばっかり考えてますね。

イ:すごいですね。どんなデザイナーになりたいとかイメージあるんですか?

ユ:んー、夢とか具体的にはないんですが、どんな場面でも必要とされる、価値を発揮できるデザイナーになりたいですね。大企業でも、スタートアップでも、その時やりたいと思った事業に携わっていきたいです。

イ:いいですね!話変わってしまうんですが、もしデザイン業務以外の副業の話がきたらやりたいと思いますか?

ユ:やらないですね。やっぱりデザインスキル伸ばしたいので。時給が3倍とかだったらやるかもしれませんがw お金は後からついてくると思うので、いまはスキル伸ばしたいですね。

イ:やらないんですね!でもデザインスキルなら本を読むとかでも良いじゃないですか?

ユ:うーん、本も大切なんですが、やっぱり実務でしか伸びない部分も大きいと思うんですよね

 

ユーザーさんの発言はほぼ全てをデータ切片化します。ひとつづきの発言が長い時は2つに分けたり、ユーザーさんの発言だけでは文脈がわからなくなってしまうものは、インタビュアーの発言を補足して付箋だけ見ても意味がわかるようにしておくと、グルーピング時にやりやすくなります。

 

(4)発見ベースでグルーピング

さて、いよいよ分析作業です。

KJ法は川喜田二郎先生が考案した日本が世界に誇る思考整理法ですよね。(たぶん)

 

データ切片を眺めて、得られる「発見」をベースにグルーピングしていきます。ここの説明が難しいのですが、データ切片から「見いだせるもの」「発見できるもの」という観点でまとめていきます。見いだせた発見をタイトルとして青付箋に書きます。

 

 

川喜田先生の著書でも「データ切片を見つめていれば、何か感じてくるはずだ」みたいな書かれ方をしていて、明確なやり方は無いんだなとw

 

イメージは、探偵が現場にある手がかりをヒントに推理していくような感じで、「この発言と、この発言があるということは…こういう価値観をもってるんだな!?」と進めていきます。

 

ここが最もセンスが問われる部分かなと思います。どういうグルーピングをして、どのようなタイトルをつけるかで分析結果に差がでると思います。

 

データ切片の作成は黄色付箋でしたが、グルーピングした際のタイトルは青付箋でおこないます。事実(発言)と解釈はしっかり分けておきましょう。

 

例をグルーピングしてみるとこんな感じです。

 

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KJ法をうまくやるコツ

発見ベースでグルーピングしろと言われても、最初はとても難しく感じて、中々手が動きません。手を動かさないと考えが進まないので、まずは手を動かしてみることが重要です。

 

まずグルーピングしてみて、タイトル(青付箋)を書いてみましょう。そして、違うかな?と思ったら、グルーピングやタイトル付けをやり直す。ボツにしたタイトルが増えれば、それは本質に近づいている証拠かなと思います。

  

(5)構造化

(4)で作成したタイトル(青付箋)同士を、構造化していきます。

 

データ切片から解釈していったものの、全体像をしっかり捉えます。

意味のつながりや、因果関係のつながりを見極めて、矢印で繋いでいきます。

 

その際、青付箋同士をさらにグルーピングして緑付箋を作成します。例では青付箋が少なくて緑付箋が1個しかつくれなかったですが、通常はもっと何個もできると思います。

 

例を構造化してみるとこんな感じです。

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(6)文章化

構造化したものを見ながら、最後はひとつの文章にまとめます。

 

文章化する際に、違和感を感じたり文章にできない箇所があれば、構造化が間違っている可能性があるので、構造化したものを見直していきます。このように構造化と文章化を行ったり来たりすることで分析の精度があがっていきます。

 

例を文章化してみるとこんな感じです。

 新卒3年目のデザイナーである太郎さんは、デザイン業務で副業をしている。将来はどこでも活躍できるデザイナーになりたいと思っており、そのためには今スキルを磨きどれだけ早く成長できるかが重要だと考えている。本業では1サービスにしか関わっておらず、デザインスキルの広がりに不安を感じてる。また、本などによるインプットだけでなく、実践の場でのアウトプットを通してスキルを伸ばしたいと思っている。テレビなどで副業の話を良く聞くようになったことも後押しになり、最初は本業の給与への不満から副業を始めたが、本業サービス以外のデザインに実務として関われるので、スキルアップしたい太郎さんには最適であり、今ではお金よりもスキルアップ目的で副業をしている。

 

(7)統合を見据えた文章化

(6)で終わってもいいですが、最後に結果のまとめを作成する場合などは、ここまでやっておきましょう。

 

インタビュー設計をしている際に、分析する際に抑えるべき項目を予め挙げているはずです。(この記事の「分析の目的」部分を参照)

 

(6)で文章化した頃には、そのユーザーさんについてかなり理解が深まっている頃ですので、このタイミングで、統合の際に使用したい項目について文章化しておくと後々が楽です。

 

たとえば、インタビュー設計の段階で、 

  • 副業に興味をもったきっかけ、背景
  • 副業をどのように獲得したか
  • 副業の満足度はどうか

 

を各ユーザーさんから抽出して、各々の比較をしながら分析結果をまとめていこうと思っていた場合は、(6)で文章化したものとは別に、上記3点についての文章化もしておくと良いと思います。

 

個人分析の手順は以上です。  

統合(まとめ)について

個人分析をしただけでは、最終結論は出せません。最後に複数名の個人分析結果を持ち寄って、まとめをする必要があります。

 

これに関しては本当にその調査によってやり方が異なるので、その調査に合った方法を模索してください!

 

よくやる手法としては、2x2のマトリックスを作ってみて、ユーザーさんを分布してみる方法があります。

 

こんな感じ。

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縦軸と横軸にどんなパラメータを配置するか、これを見いだすのはなかなか妙技ですが、縦軸と横軸をなんとか設定してみてください。太郎さんが成長重視だったので、他の人は何を重視してるのか?を考えてみるとか、属性で設定してみるとか、やり方は色々あります。

 

そしてそこにユーザーさんを分布してみると、近しい属性のユーザーさんがわかってきます。例だと、「太郎さん&花子さん」、「健太さん&一郎さん」が近いと思います。

 

近いユーザーさんの個人分析結果を見比べてみて、どのような共通点や相違点があるのかを見たり。違うグループ同士、たとえば「太郎さん&花子さん」と「健太さん&一郎さん」の間にどのような共通点や相違点があるかを見ていきます。

 

これを繰り返すと、だんだん結論めいたものに近づいていくことが多いです。

 

分析は、みんなでやるのがおすすめ!

分析は、1人でやるのではなく、チームメンバーを巻き込んでやることをおすすめします。理由は2つあります。

 

ひとつは、1人で分析作業をすると、グルーピングをする際に自分の主観に引っ張られすぎる危険性があるためです。複数名でいっしょにやることで、一人の主観に引っ張られすぎず分析ができると思います。

 

もう一つは、これが一番大きいのですが、チームメンバーを巻き込むことで、チームにユーザーインタビューの重要性が伝わりやすいためです。ユーザーインタビューは、サービス開発をするスピードを遅くするものにも見えてしまうため、チームメンバーからの承認を得られないと続けられないと思います。ユーザーインタビューそのものに参加してもらうことももちろんですが、分析にも参加してもらうことでその重要性を感じてもらいやすくなるかなと思います。

 

弊社では、データ切片化までできた状態で、「分析会」という時間を設定し、該当のインタビューに参加していたメンバーを集めて、みんなでわいわい(4)グルーピング〜(5)構造化までをしています。

分析とまとめをした後は?

せっかく分析したものを、レポートにまとめて置いておくだけ!ではもったい無さすぎます。

 

弊社の場合は「クライアント企業が居て、そちらにレポートを提出する」みたいなことはないので、レポートもかしこまらずカジュアルにまとめたり、そもそもそこまでカチっとまとめないこともあります。

 

ユーザーインタビューには目的があるので、その目的によって分析をどのようにするか、分析後なにをするのかは変わります。

 

ペルソナを作ることがゴールだったら、分析結果を擬人化してペルソナ作成をするかもしれないですし、

新規事業を始めるなら、ターゲットユーザーのインタビューして、新規事業アイディアがいけそうなのか判断して、ペルソナ作って、理想のカスタマージャーニーマップ作って…となるかもしれないですし、

施策コンセプトの検証が目的だったら、その是非だけを判断しうる情報だけ得られればOKかもしれないですし。

 

「ユーザーさんのこと知れて良かったね!」で終わらず、サービス開発にしっかり繋げていきましょう。

 

最後に

いかがでしたでしょうか。かなりマニアックな内容なので、さらっと読めるものではなかったと思いますが、実際にユーザーインタビューをやってみようという方の参考になれば幸いです!

 

デザイナー採用は常にしております。お待ちしています!